夏期講習が終わり、少し落ち着いてきました。
今年の夏はありがたいことに授業がかなり多く、土日も含めてほとんど休みなく生徒を指導していました。
そんな中で、改めて感じたことがあります。
受験勉強で一番大切なのは、結局「本人のモチベーション」なのではないか。
もちろん、正しい勉強法も大切です。どんな問題を、どのくらいやるのかも重要です。
でも、そのすべての土台にあるのが「本人が勉強をやろうと思えるかどうか」だと思っています。
※今回の内容はstand.fmでもお話ししています。
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成績が伸びるために必要なもの
かなり単純化すると、受験勉強でどれだけ伸びるかは、
本人の能力 × 適切な勉強 × 勉強量
のような掛け算で考えられると思っています。
本人がもともと持っている能力については、指導する側が短期間で大きく変えられるものではありません。
一方で、
- 今、この子にはどんな勉強が必要なのか
- どのレベルの問題をやるべきなのか
- 何を優先して勉強するべきなのか
を考えることはできます。
ここは塾や家庭教師が力を発揮するところです。
ただ、どれだけ適切な勉強を用意しても、本人がやってくれなければ意味がありません。
宿題を出してもやらない。復習をしない。勉強時間そのものが増えない。
これでは、正しい勉強法を提示しただけでは成績は伸びません。
だからこそ、そのさらに土台にある**「本人のモチベーション」**が重要なのだと思います。
「勉強しなさい」だけでは、なかなか動かない
私自身が子どもの頃は、親や塾の先生から「これをやりなさい」と言われたら、比較的そのままやっていたように思います。
でも、今の子どもたちを指導していると、それだけではなかなか動きません。
しかも今は、子どもの身の回りに楽しいものがたくさんあります。
YouTube、スマートフォン、ゲーム。
小学生の頃から、勉強よりも「100億倍楽しい」と感じるようなものが、いつでも身近にあります。
そんな環境で、
「遊ばずに勉強しなさい」
と言われたからといって、自分から何時間も勉強する。
それを当たり前のように求めるのは、なかなか難しいことだと思います。
だから、「やらせる」だけではなく、どうすれば本人が少しでも「やろう」と思えるのかを考える必要があります。
小学生には「将来のため」だけでは難しい
高校生くらいになれば、
「この大学に行きたい」
「将来こういう仕事をしたい」
「だから今は勉強しないといけない」
と、自分なりに理屈を組み立てて勉強できる子も増えてきます。
ところが、小学生に同じことを求めるのは難しいでしょう。
中学受験であれば、受験するのはまだ11歳、12歳です。
「将来のためだから今は我慢して勉強しよう」
と言われても、なかなか実感できません。
だからこそ小学生の場合には、もっと直接的に本人の気持ちが動くものを作ってあげる必要があると思っています。
「できた」を一緒に喜ぶ
私が授業で意識していることの一つが、できたことをしっかり褒めることです。
そして、ただ「よくできたね」と言うだけではなく、
できたときに自分も一緒になって喜ぶ。
これはかなり大切にしています。
以前は私自身にも、「このくらいはできて当然」という感覚があったと思います。
でも、たくさんの生徒を指導するようになって、考え方が変わりました。
勉強が苦手だった子が、それまでできなかった問題を解けるようになる。
これは本当にすごいことです。
だから、できたときにはこちらも嬉しい。
その気持ちは、できるだけそのまま生徒に伝えるようにしています。
褒められたり、認められたり、誰かに一緒に喜んでもらったりする。
そういう経験によって、勉強に対して少しでもポジティブな感情を持ってもらえればと思っています。
授業時間を削ってでも話をすることがある
勉強を教えることだけが、塾や家庭教師の役割ではないとも思っています。
例えば90分の授業なら、90分すべてを問題演習や解説に使った方が、一見すると効率的です。
でも、生徒のモチベーションが大きく落ちているのであれば、私は授業の前後などに5分、10分と話をすることがあります。
何に困っているのか。
最近どうなのか。
どうして勉強する気になれないのか。
そこに時間を使った結果、問題を解く時間が少し減ったとしても、それによってその後の勉強への取り組み方が変わるのであれば、そちらの方が大きな意味を持つことがあります。
保護者の方にも「できているところ」を見てほしい
これは特に、中学受験をするご家庭で感じることです。
中学受験を考えている保護者の方は、当然ながら教育への熱量が高い方が多いです。
だからこそ、
「これもやらないと」
「あれもできていない」
「どうしてこんな問題ができないの?」
と、できていない部分に目が向きやすくなります。
もちろん、それは子どものことを真剣に考えているからこそだと思います。
ただ、できていないことばかりを指摘され続けると、子どもにとって勉強はどんどん嫌なものになってしまいます。
私は保護者の方とお話しできる機会があれば、
「少しでも良いところを見つけて、褒めて、認めてあげてください」
とお願いすることがあります。
塾の先生に褒められるのも嬉しいでしょう。
でも、子どもにとって、親に褒められることの影響はそれ以上に大きいと思っています。
本人のモチベーションを「くすぐる」
褒めること以外にも、特に中学受験では、本人のモチベーションを「くすぐる」ことも大切だと思っています。
例えば学校見学です。
サッカーが好きな子なら、人工芝のきれいなグラウンドがある私立中学校を実際に見せてみる。
普段は土のグラウンドでサッカーをしている子が、きれいな人工芝で練習している中学生を見たら、
「ここでサッカーしたい!」
と思うかもしれません。
大人からすれば、学校選びには進学実績や教育内容など、もっといろいろな判断材料があります。
でも、小学生本人を動かすきっかけは、そんな単純なものでもいいと思います。
「この学校に行きたい」
という気持ちが本人の中に生まれれば、
「そのためには勉強しよう」
につながる可能性があります。
大人が正論を並べるより、本人が「行きたい」「やってみたい」と思える何かを見つける。
そうやってモチベーションを少し「くすぐってあげる」ことも、周囲の大人にできることだと思います。
モチベーションは、すべての土台になる
究極的には、勉強そのものが楽しいと思える状態を作れたら一番いいと思っています。
YouTubeやゲームに負けないくらい、問題が解けることや、新しいことを知ることを面白いと思ってもらう。
もちろん、現実には簡単ではありません。
勉強ですから、嫌でもやらなければいけないこともあります。厳しいことを言わなければならない場面もあります。
それでも、
「できた」
「褒められた」
「前より分かるようになった」
「この学校に行きたい」
といった小さなポジティブな感情を積み重ねていくことはできます。
モチベーションがなければ勉強量が減り、勉強量が減れば、どれだけ良い教材や指導があってもなかなか結果にはつながりません。
だから私は、勉強法を考えるのと同じくらい、場合によってはそれ以上に、
「どうすれば、この子が少しでもやる気になるだろう?」
と考えることを大切にしています。
受験勉強において、モチベーションは数ある要素の一つではなく、すべての土台になるものだと思っています。

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