算数や数学では、「計算が大事」ということは誰でも知っていると思います。
小学生でも中学生でも、中学受験でも高校受験でも、計算はすべての土台になります。
ただ、普段生徒を指導していると、計算力の重要性は「難しい問題を解くために必要」というだけではないと感じます。
計算が遅かったり、計算ミスが多かったりすると、算数・数学の勉強そのものにものすごく時間がかかるようになります。
逆に計算がスムーズになるだけで、問題を解くスピードや正解率が上がり、宿題にかかる時間まで短くなります。
今回は、日々の指導の中で感じている「計算力の大切さ」について書いてみたいと思います。
※今回の内容はstand.fmでもお話ししています。
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計算力が弱いと、演習量が減ってしまう
私は授業をするとき、「説明を聞いて分かった」だけではなく、最終的に自分で問題を解けるようになることを大切にしています。
そのため、授業の中でもできるだけ生徒自身が問題を解く時間を取るようにしています。
ところが、ここで計算力によってかなり大きな差が出ます。
計算が速く正確な子なら、考え方を理解したあと、実際に最後まで計算して答えを出すところまで進められます。
一方で計算が苦手な子の場合、考え方は合っているのに、そこから答えを出すまでにものすごく時間がかかることがあります。
途中で計算ミスをして、また最初からやり直すこともあります。
そうすると、本来なら授業中に3問、4問と練習できたはずなのに、1問だけでかなりの時間を使ってしまいます。
あまりに時間がかかる場合には、私も仕方なく、
「考え方と式を立てるところまでやろう。計算は宿題でやってみて」
とすることがあります。
でも、本当は最後まで自分で計算して、答えを出して、丸をもらうところまでやってほしい。
子どもにとっても、「分かった」だけより**「自分で解けた」という経験の方がうれしい**と思います。
そのためにも、計算力はかなり重要です。
計算練習は1日10分くらいでもいい
だからといって、毎日1時間ずっと計算練習をする必要はありません。
私ならまず、1日5〜10分、5〜10問程度から始めることをおすすめします。
計算の種類によって必要な時間は違いますが、5分で5問でも構いません。
大切なのは、短時間でも継続して計算することです。
毎日10分なら、それほど大きな負担ではありません。
それでも続けていけば、計算のスピードや正確性にはかなり差が出てきます。
そして計算が速くなると、計算問題だけでなく、普段の算数・数学の問題を解く時間そのものが短くなります。
つまり、計算練習に使った10分が、ほかの勉強時間を短くしてくれるという効果もあります。
「宿題が多くて計算する時間がない」なら
ここで、
「塾の宿題が多くて、計算までやる時間がありません」
というケースもあると思います。
でも、そういう場合には、私はむしろ宿題のやり方そのものを見直した方がいいと思っています。
特に集団塾では、同じクラスの生徒にある程度同じ宿題が出されます。
当然、その宿題が一人ひとりの学力にぴったり合っているとは限りません。
その中でも一番避けたいのが、
自分には難しすぎる問題に、一人で長い時間を使い続けること
です。
分からない問題を20分、30分と考え続けても、結局ほとんど進まないことがあります。
それなら、その問題はいったん飛ばして、5〜10分計算練習をする。
私はその方が、学習全体としては効果的なケースも多いと思っています。
もちろん、宿題を勝手にやらなくていいという話ではありません。
ただ、集団塾の宿題についていけない状態なのであれば、すべてを無理に終わらせることよりも、今の自分に必要な勉強へ時間を振り分けることも考えていいと思います。
計算や漢字など、自分一人でもできる基礎的な勉強を優先するのも一つの方法です。
場合によっては保護者から塾へ、
「今は難しい問題まで全部やらせるのではなく、できる問題を中心に取り組ませます」
と相談してもいいと思います。
小学生なら、かけ算・割り算・小数・分数
では、具体的に何を練習すればいいのでしょうか。
小学生の場合、たし算・ひき算は、ある程度できる子が多いです。
差がつきやすいと感じるのは、
- 桁数の多いかけ算・割り算
- 小数の計算
- 分数の計算
- 通分・約分
などです。
特に分数は、その後の算数でもかなり頻繁に使います。
整数と分数、小数と分数などが混ざっても、あまり止まらずに処理できる状態にしておくと、その後の学習がかなり楽になります。
中学受験をする子にとっても、このあたりの計算力は非常に重要です。
中学生なら、符号・文字式・展開・因数分解まで
中学生になると、単純な数字の計算だけではなく、数式を正確に処理する力が必要になります。
例えば、
- 正負の符号
- 文字式
- 移項
- 分配法則
- 式の展開
- 因数分解
などです。
中3になると、二次方程式や二次関数など、より複雑な問題を扱うようになります。
そこで途中の計算を1か所間違えるだけで、その後を全部やり直さなければならないことがあります。
考え方は合っているのに、計算ミスで答えが合わない。
もう一度計算する。
また違うところで間違える。
これを繰り返していると、本当に時間がかかります。
だから私は、中1・中2で学習する計算分野から因数分解くらいまでを、できるだけ正確に処理できる状態にしておくことが大切だと思っています。
計算力が上がると、算数・数学全体が楽になる
もちろん、算数や数学が苦手な子の全員が、計算を苦手としているわけではありません。
計算はできるけれど、文章題や応用問題になると解けないという子もいます。
ただ、これまで学習に悩んでいる生徒をたくさん見てきて、計算力がかなり弱い子が多いというのは強く感じています。
計算力を上げるメリットは、計算問題で点を取れることだけではありません。
問題を解くスピードが上がる。
計算ミスが減る。
授業中に解ける問題数が増える。
宿題にかかる時間が短くなる。
そして「自分で最後まで解けた」という経験も増える。
もし今、
「算数・数学の成績がなかなか伸びない」
「塾の宿題にものすごく時間がかかる」
という状態であれば、一度難しい問題から離れて、毎日5〜10分だけでも計算練習を入れてみるのもいいと思います。
遠回りに見えるかもしれませんが、計算力を高めることが、その後の算数・数学を楽にする近道になることも多いです。

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